新年あけましておめでとうございます。
本年もよろしくお願いします。
本年は、まず、これから社会で活躍する若年者とこれまで社会を支えてきてくれた高齢者を消費者被害から守る取り組みをします。
次の通常国会で、成年年齢の引き下げ法案が上程される予定です。成年年齢が18歳に引き下げられるということの意味は、高校3年生の教室の中に、未成年者と成年者が混在すること、また、高校を卒業する時には、全員が成年であり、知識や社会経験がなく、判断力が不十分であっても、自らした契約はもちろん、その不十分さにつけ込まれた契約も、取り消すことができません。自分が大学生だった頃を思い出すと、ぞっとします。成年年齢を引き下げることの意味を正しく理解すると、どうしても、安易な引き下げには反対せざるを得ません。
一方、高齢者、高齢世帯の増加は、悪質業者による被害を容易にしています。日弁連では、昨年に引き続き、高齢者の消費者被害を地域の力を結集して防ごうと、各地の弁護士会に呼び掛け、「地域で防ごう消費者被害in○○」(○○には地名が入ります)と題するシンポを全国各地で実施していきます。昨年は、東京、大阪、愛知、福岡、札幌、宮城と開催してきましたが、本年は、2月までに、金沢、徳島、熊本、広島で開催することが決まっています。地域の消費者団体だけではなく、行政機関、福祉団体、さらにこの問題に関心をもって活動している諸団体や事業者との連携を目指し、高齢者の消費者被害の防止・救済に務めます。
さらに、高齢者の消費者被害の防止には、訪問販売や電話勧誘規制が有効であり、Do-not-knock, Do-not-call制度の導入を目指しますが、まずは、訪問販売お断りステッカーの普及とこのステッカーを無視した勧誘を不当な勧誘と定める条例の制定を目指します。昨年、神奈川県では、この方向に沿った条例改正素案を審議会が出し、パブコメでも7割が賛成していたにもかかわらず、黒岩知事が、この規制を条例改正に盛り込まないと答弁をしました。神奈川県弁護士会では、直ちに、黒岩知事答弁に対する会長声明を発して抗議をしています。黒岩知事に、条例改正の効果を上回る秘策があるのでしょうか?
若年者や高齢者、障害者など、一般消費者より以上に保護が必要な弱い消費者の保護が喫緊の課題であると、昨年8月8日付け消費者委員会の答申書は述べています。本年、消費者契約法の改正にあたっては、いわゆるつけ込み型勧誘の取消しの導入を求めていきます。(河上正二先生、3期6年間の消費者委員会委員長、大変お疲れさまでした。)
その他、景気は回復しているとの報道ですが、他方、破産申立件数は増えていますし、生活保護水準は引き下げられています。不思議でなりません。格差社会を作りだそうとしているかのように見えます。マネーゲームではなく、努力が報われる社会であってほしいと思います。日本を代表する会社のデータ偽装は、情けないです。
同様に、博打(カジノ)で集客しようとか、博打の売上で施設を維持管理しよう、などという政府の発想は、とても恥ずかしく、止めてほしいです。カジノの解禁にも引き続き反対していきます。
安全・安心で、心豊かな社会を求めて、一つ一つ、一歩一歩、今年も取り組んでいきたいと思います。